自動精算機の新札対応

来月に予定されている新札発行は、偽造防止技術の向上と紙幣の耐久性の強化を目的としているとのこと。新デザインの紙幣には、最新のホログラム技術や特殊インクを使用することで視覚的なセキュリティ要素が強化されるほか、デザインには日本の歴史や文化を反映した新しい肖像画やシンボルが採用され、より現代的でありながら伝統も感じさせるものとなっているようです。

新札の発行は経済活動に影響を与えるもので、特にATMや現金自動販売機などのシステム対応が求められます。このような技術的な更新は、長期的には国民の信頼性向上と経済の健全性を支えるものという建前はあるものの、企業は時間や費用を負担することになります。当社にも新札対応が必要な機器を導入されているお客様がおりますので、作業に伺ってまいりました。

新札対応のためのシステム更新作業

自動精算機

埼玉県川越市の産業廃棄物処理場に導入されている自動精算機です。処理場にがれきや木くずなどを持ち込みに来た建設業者などが、その場で処分料を払うことができます。

室内に設置されていますが建物はいわゆる現場事務所的なつくりでもあり、簡単に持ち出せたりこじ開けたりできない頑丈な筐体です。クレジットカードや各種キャッシュレス決済に対応した端末と連携、ソフトウェア開発も含め基盤設計や板金設計までトータルに対応できるミドランテック株式会社に作成していただいたものです。当然、紙幣を識別するユニットも組み込まれていますので部品の更新が必要となります。

本日の主役、コンラックスの循環式紙幣識別機(ビルバリ)です。入れた紙幣(千円札)が釣札として循環するタイプで、釣札を補充する頻度が少なくオペレーション効率が良いほか、釣札事態も少なく済むのでキャッシュフロー面でも有利です。やや大型ですがノートラブルで稼働していました。メーカーでオーバーホールとアップデートを済ませています。当然のように新札特需で、メーカー対応中の代替ユニットの確保も難しい状態でしたが間に合ってよかったです。

ちなみにメーカーさんに対しては紙幣識別ユニットは「ビルバリ」で通じるのですが、いろいろ調べたところどうやら一般的な呼び方ではないようです。ミドランテックの技術の方に聞いても何の略語かはっきりしませんでしたが、おそらく「ビルバリ」=「bill validator」でしょう。確証はありませんが。

防犯上の問題で公開できない部分もありますが、開けるとこんな感じ、正面に見えるのはUPSと普通のWindowsパソコンです。ビルバリの他に循環式硬貨セレクター(コインメック)、人感センサー、ICカードリーダー・レシートプリンタなどを制御する基盤が組み込まれています。お借りしていた代替ビルバリを取り外し、更新済のビルバリを取り付ける交換作業をしました。ビス止めとコネクタ配線、ケーブルの固定ぐらいのものです。

部品を交換した後は通電とシャッター開閉・札投入・札排出、一通りの動作確認をして完了です。新札のテストはできませんが、約2週間後にせまった新札発行への対応を無事に済ませることができました。

新札対応のシステム更新費用について

7月の新紙幣発行まで5カ月を切り、飲食店などでは対応する券売機への更新に迫られている。更新には1台当たり100万円以上かかるケースが多いとされ、既に原材料の高騰に直面している個人経営の事業者からは「負担が重すぎる」と悲鳴が上がる。対策として小規模店が多い東京都葛飾区は、全国でも珍しい更新費用の補助に乗り出す。

引用:東京新聞

上の記事にあるように、新札対応に100万円ぐらいかかると思われている方もいるかもしれませんが、このケースではそこまで費用がかかることはありませんでした。ビルバリの更新は年式により変わりますがだいたい10万から20万ぐらい、交換作業はユーザーさんでもできそうですがお預かりした代替機を扱うこともあり2回の出張作業、他には更新中に借りた代替機のお礼や発送費用ぐらいです。

もちろん費用についてはケースバイケースですし、この機会にシステムや機器の入れ替えを行う事業者もあるかと思います。また、お札の識別を機械で行っていない対面式のレジなどで会計を行っている場合はシステムの費用はかからなくても、新札に関する知識や取り扱い方法について、従業員に対するトレーニングが必要になります。

新札の発行のように、お上の都合での環境変化に関しては、国や自治体からの補助が望まれるところですが、更新費用を補助対象にする自治体は希少で、対象になる当社のお客様はおりませんでした。特にシステム関連の費用となると適正価格の把握が難しく、結局メーカーが補助金分上乗せしてるのではないかと思われる事例を目にすることも多く、公正な制度運用の難しさと歯痒さを感じるところです。

おまけ:自動精算機の機能紹介

精算するデータの特定は運ばれてきたトラックのナンバーで行います。当時は画期的なアイデアと自画自賛していましたが、今では大型ショッピングモールの駐車場で料金の精算によく使われている方法ですね。

精算は本機で行うとしても元となるデータはどこから?と思われるかと。例えば小売店ならレジ、ビジネスホテルならフロントのシステムなどで商品・数量・代金のデータが作られたりします。

ここでは、産業廃棄物の種類・数量(立米数)・契約単価などの入力をkintoneで行っています。タブレットを使って現場で廃棄物の種類と量を入力、アプリにあらかじめ登録された契約単価を参照して金額が計算され、本機で精算という一連の流れに対応したシステムを短期間・安価に構築することができました。標準モバイル対応・API利用可能といったkintoneの特長を生かしたものと言えるでしょう。

クレジットカード・各種キャッシュレス決済用の端末PayCASも、有償の利用契約は必要ですがAPIによる連携が可能なものです。kintoneで入力されたデータをAPIで参照し、現金の受け入れや決済端末との通信を行い、領収書を出力するという動きをWindowsアプリケーションで実現しています。

もう一つ、隠れた機能として「kintoneからボタン一つで帳票印刷」というものもあります。これは精算機というよりは中のパソコン上の機能ですが、LAN内でWEBサーバーとしても機能し、kintoneアプリから送られたリクエストに応じて接続されたページプリンタから帳票が印刷される、というWEBサービスプログラムが稼働しています。ブラウザの印刷機能を使わずに事務所内のプリンタから印刷できるのは、特にタブレットからの操作で利便性が向上したことを実感できるものです。


当社では、サイボウズ公式パートナーとしてkintoneの導入支援・伴走支援を行うほか、既存サービスとの連携・サブシステム開発を含めたシステム構築を得意としています。お客様のビジネスニーズに合わせた最適なソリューションを提供し、業務効率化と生産性向上を実現します。ぼんやりとした課題から詳細なご相談まで応じますので、ぜひ以下のリンクからお問い合わせフォームにご記入ください。

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