kintoneアプリのカスタマイズ

国産ノーコードツールとして多くの企業・団体で導入されているkintoneは、ほぼマウス操作だけで業務に必要なアプリを作成することができます。
基本機能だけでも非常に利便性の高いツールですが、「ほんの少しだけ」手を加えることで業務の利用目的に合わせたアプリにすることも出来ます。
本記事では、弊社でも導入実績の多い、kintoneアプリのカスタマイズについてご紹介します。

kintoneのカスタマイズ方法

kintoneアプリをカスタマイズするには、①JavaScriptを使う方法と、②プラグインを使う方法があり、いずれの方法もkintone「スタンダードコース」の契約が必要です。

カスタマイズ方法① JavaScript② プラグイン
メリットカスタマイズの自由度が高い
社内でなら無料で開発できる
プログラミングの知識が不要
複数のプラグインを組み合わせることができる
デメリットプログラミングの知識が必要有料で提供されることが多い
必要な機能を多数のプラグインから選定する必要がある

上記のようなメリット・デメリットがありますが、JavaScriptによる最大のメリットは「思うがままに」カスタマイズできることです。JavaScriptは比較的学習が容易なプログラミング言語ですので、ITエンジニアでなくとも、学生時代に「情報」科目としてプログラミングの基礎を学んだ世代の方々などなら挑戦してみる価値はあると思います。

二つの方法を併用することも出来ますが、JavaScriptのカスタマイズよりもプラグインによる動作が後に適用されるため、意図した動作にならないことがありますのでご注意ください。

アプリのカスタマイズ例

avaScriptでkintoneアプリをカスタマイズするときに必要な情報は、cybozu developer networkに公開されています。APIドキュメントの他、開発Tipsとして開発ノウハウやサンプルなどもすべて日本語で読むことが出来るのでとても便利です。
カスタマイズの目的から、大まかに3つに分けることができます。

1.アプリのUIに機能を追加する

フィールドの設定以外の入力制限を設けたり、あるフィールドの値を変えることで他のフィールドの動作を変更する、レコード登録時に必須・重複禁止以外のエラーを表示するなどが考えられます。このカスタマイズによって、入力ミスを減らしたり、入力作業を効率化したりすることが出来ます。

2.他のアプリと連携する

あるアプリにレコードを登録したときに、他のアプリのレコードを自動的に変更することなどが考えられます。ルックアップの仕様などでわかるように、kintoneのアプリはそれぞれ独立しており、あるアプリのレコードの登録・編集・削除が他のアプリのレコードに影響することはありません。このカスタマイズによって、リレーショナルデータベースのように、参照している他のアプリのレコードを最新の状態に変更するマスタデータを管理するアプリや、自動更新される集計テーブルのような役割のアプリを作成することが出来ます。

3.他のシステム・サービスと連携する

kintone以外のシステムのAPIを利用することで、kintoneのデータを他のシステムに渡したり、kintoneアプリに他のシステムのデータを取り込むことが出来ます。社内で利用している基幹システム・会計システムと連携したり、生成AIで自動応答するアプリのようなものまで活用範囲を広げることができます。


カスタマイズの難易度は、そのアプリの範囲内でおさまる 1.の方法が一番簡単ですので、まずは1.の方法から検討することを推奨します。

カスタマイズを希望する前に

kintoneのサービス開始から10年以上経ちましたが、当初は我々のようなITベンダーにとってもノーコードツールがどのようなものなのかよく理解できていなかったように思えます。「誰でも簡単に」アプリが作れるとうたわれていても、「アプリ作成のプロである我々ならもっと凄い便利なアプリが作成できる」という考えからカスタマイズ前提でアプリを開発していた風潮がありました。
導入当初からカスタマイズしたアプリを納入した結果、業務の変化や実情に合わせて「柔軟に変更できる」kintoneの最大のメリットを殺してしまい、所謂使われないシステムとなってしまった例も見られ、ITベンダー・ITコンサルタントとして大いに反省すべきことです。

kintoneの大きな強みの「簡単にアプリが作成できる」「業務に合わせて柔軟にアプリを変更できる」ということは基本機能だけで十分に実現できます。基本機能でのアプリ運用で「ちょっとかゆい」程度のことがあってもその点は後回しにして、まずはkintoneの基本機能で出来ることだけで運用してみることを強くお奨めします。

まとめ

弊社ではカスタマイズ方法として、お客様の希望に最大限に答えられるようJavaScriptによるカスタマイズを採用することがほとんどですが、kintoneアプリをカスタマイズすること自体にもメリット・デメリットがあります。

特に運用開始当初では、カスタマイズによるデメリットが発生することに注意が必要です。アプリカスタマイズだけでなく、導入・運用時のアドバイスが必要なら、ぜひ弊社にご相談ください。

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